スクープとはいえない

 NHKスペシャル沢木耕太郎ロバート・キャパの写真の捏造を検証する番組を見たが、あれは先行研究をきちんと紹介しないで「最大の謎」とか「世界的なスクープ」とか煽っていたのはよくない。ほんとうにゲスなテレビ屋の仕事だと思う。なんでこんなものに沢木耕太郎は協力したのか。
 捏造のあとキャパの人生に焦点を当てるのはいかにも沢木らしいが、これを掲載した雑誌『LIFE』の責任もあるはず。ファシズムに抵抗するためなら捏造も許されるか、ということである。正しい目的のためならどんな手段でも使ってよいか、ということであり、あの有名な「朝日新聞珊瑚記事捏造事件」にも通じる問題である。