芸がまずいと叱られて

 NHKでは『フレ☆フレ』と『明日へ-支えあおう』という番組で、宮城県気仙沼児童劇団を取り上げていた。震災の体験をミュージカルにして、東京で公演したのだという。
 震災の記憶を風化させないために、という思いはいいが、それに子供たちを使うのはいかがなものか。その練習風景を見ると、こういう地方の劇団にありがちなスパルタ方式で、指導者である大人が劇団員の子供を怒鳴りつけてもいた。しかもそのミュージカルの内容は、震災で家族をなくした子供たちに、そのときの体験を語らせるのである。みんな涙ながらに語っている。それはそうである。震災の恐怖と、家族を失った悲しみ、子供の心がそれに耐えられるものか。ミュージカルだのテレビ番組だの、こういうものを見世物にしてはいけない。
「今日も今日とて 親方さんに 芸がまずいと 叱られて バチでぶたれて 空見上げれば(『越後獅子の唄』)」である。
 こんなものを企画するまわりの大人たちは、頭がおかしい。