十五の夜這い

 Aliの『十五』というケータイ小説を読む。これは、映画『家族ゲーム』に端役で出ていた前川麻子が別名義で書いたもので、15才の時に出会ったある有名男優との関係をつづっている。窓の鍵をあけて待っていると、その男優は夜中に忍んできたという。まるで夜這いである。
 それにしても、これほどのスター男優であれば、女なんかいくらでも寄ってきただろうに、当時37才で妻子がありながら、知り合いの放送作家の娘(15才)とセックスしていたとは。以下、『十五』より引用。

わたしの体をとうもろこしのようになめ回すタキオだって、映画やテレビドラマでは、そんなことあり得ないという顔をして、「あいにく、そうした覚えはございませんのでね」などと芝居をする……。(P120)

タキオにとって、わたしの部屋に来ることは、立ち食いソバ屋に寄るのと同じなのかもしれなかった。(P136)

わたしは、奥さんと一緒にいるときのタキオはどんな様子なのだろうと想像しながら、台所で紅茶を入れる……。(P138)

わたしは、バスタブのふちに手をついて背中を伸ばし、バスタブの外にタキオを立たせたまま、タキオのペニスにフェラチオをした。
「ああ……」というタキオの声が、ふろ場のタイルに響いて大げさに聞こえ、わたしは、ペニスを吐き出して、また笑った……。
けれど、セックスそのものは、なかなか気持ちよくならなかった。タキオのペニスは、わたしには大きすぎた。(P209)

タキオが一番よくしゃべるのは、セックスのときだった。
タキオが、しゃべっている途中で不意に黙り込むと、わたしの中のペニスがびくびくと躍動する。何度目かのそのときが、タキオの射精だった。
射精した後のタキオは、少しの間だけ、死んでいる。
(P211・引用終わり)

 タキオ、とは松田優作

十五

十五