朝ドラの主人公みたいなやつだな

 町山智浩NHKの朝ドラ『カーネーション』を絶賛していたので何回か見たが、どうにもああいうドラマは性に合わない。ようするに通俗である。いや、『カーネーション』はそれでも、演出がよかったという声がある。セリフで説明するのではなく、登場人物の本心を演技や映像で示していたそうだ。まるでデ・パルマのようだと。いやはや映画マニアというのは、たかが朝ドラでもじつに細かく見るものだ。
 それでもなお『カーネーション』は、通俗であったと思う。ようするに朝ドラの視聴者というものは、通俗ドラマを求めているのだし、優等生の主人公を求めているのである。脚本家や演出家がいくら斬新なことをやりたいと思っても、その枠からはみ出すことは許されない。それでいいと思う。私はこんな通俗ドラマは嫌いだし、見ないが、そういうものを楽しみにしている人がいることは理解する。
 映画のような演出をやりたいのであれば、映画でやればいいのである。デ・パルマがどうした。朝ドラを変えようなどというのは、よけいなことである。花園を荒らすな。通俗をなめてはいけない。通俗だから泣けるのである。大河ドラマの『平清盛』の視聴率が悪いのは、映画的演出だのリアリティだのを求めすぎたせいである。
 フジテレビの『リーガルハイ』というドラマを見ている。主人公は多額の報酬さえもらえればどんな裁判も勝ち取るという天才弁護士。まあ、ブラックジャックの弁護士版だな。第四話では、この主人公が貧乏な人権派弁護士をやりこめる。金よりも正義が大事だと説く新垣結衣演じる新米弁護士に向かっては、「きみは朝ドラの主人公みたいなやつだな」とバカにする。たしかに現実はこうであろうが、なんとも気分が悪い。

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