誰が演歌を聴くのか

 森田芳光が死んだけど、その61歳という年齢にみんな驚かなかっただろうか。そんな歳だったのかと思った。ジジイである。61歳といえば、まちがいなくジジイである。しかしあのみずみずしい映像感覚をうたわれた映画監督にしてジジイなのであるから、これは世の老人観の方が、まちがっているのだ。団塊の世代は、さらに年上である。
 それで、演歌を好んで聴くような老人は、もういないのではないかと思うのだ。私たちは一生ロックを聴き続ける世代だ、と中島梓が書いていたっけ。
 演歌で泣くか? 刑務所の慰問じゃねえんだから。カウンターカルチャー的なひねくれた聴き方をするインテリや、カラオケや宴会芸の出し物としてバカにしつつ楽しむ大衆はいるとしても、ああいうのを本気で好きだという人の背景がわからない。おまえはどういう青春を送ってきたのかと、小1時間問い詰めたい