道を尋ねられたり、隣に座られたり

 表を歩いていると、けっこう人から道をたずねられることが多い。
「○○駅へはどう行けばいいですか?」とか。
「この近くに○○というお店はありませんか?」とか。
 一日に三度もそういうことがあった時には、おれはどうやら他人から、道をたずねたら教えてくれそうな人物と見られているな、と思った。
 それから、電車に乗っている場合であるが、おれがイスに座っていて、隣が空いている場合、なぜかそこに女性が腰かける割合が高い。しかも若くて美人が。
 もうちょっと説明すると、座席におれを含めて何人かの男が座っていて、それぞれ隣が空いていたとする。で、つぎの駅に着いてドアが開いて客がワーッと乗ってきて、若い美人が「席に座りたいけど、どこにしようかしら」と迷いながらやってきて、数人の男たちが座っている座席を見て、このうちの誰かの隣に座らなければならないという切迫した状況の中で、なぜか若いイケメンもいるのにそいつの隣には座らず、おれの隣に座ったりする。
 それでおれは、えっ、なんで彼女はおれの隣に座ったんだろう、と考えながら目的地まで揺られていくというパターンが多い。
 これにはきっと、なにかあるはずだ。