おれの決め球は、カーブだ。
小学生の時に本で読んだ「カーブの投げ方」をそのまま試してみたら、本当に曲がった。ゴムボールだったけど、まるで水島新司のマンガみたいに、ククッと曲がったのだ。
これには一緒にキャッチボールしてた友達も、投げたおれもおどろいた。今でもカーブには自信がある。
ところで、カーブ・ボールはなぜ曲がるのだろうか。
ボールに回転を与えるとマグヌス効果が働いて、曲がる、ということらしい。
しかし、おれが知りたいのは、そういうことではない。
カーブはなぜ、バッターの手前で曲がるのか、ということである。
ボールに回転を与えたら曲がるというのであれば、投げてから5メートルで曲がってもいいし、10メートルの地点でも、20メートルの地点でも曲がっていいはずだ。
それなのになぜ、カーブは計ったようにバッターの手前で曲がるのか。ピッチャーはなぜ指先ひとつで、カーブの曲がるタイミングまでをもコントロールできるのか。