もし俺がドラッカーを読んだら

 ドラッカーというくだらぬものが流行しているので、一言申しておきたい。
 あんなものは商人道徳である。
 商人の仕事は、ゼニ儲けである。安く仕入れて、高く売ることである。そこにはなんら高尚な理想も哲学もない。
 ゼニ儲けは、いやしいことである。世の中ではそう思われてきた。商人はそうしたやましさから逃れるために、自分たちの仕事を肯定してくれる哲学を求める。日本の経営者に、堺屋太一山本七平が読まれているのもそういう理由だ。
 ドラッカーの書いていることは、かつてヘンリー・フォードが述べたことと同じである。フォード自動車会社の創業者であるヘンリー・フォードは、利潤の追求ではなく、社会奉仕を企業の使命と考える理想主義者であった。それゆえに、ゼニ儲けしか頭にない者に対して反感を持っていた。暴利を貪るユダヤの高利貸しなどは、その筆頭である。ユダヤ人への反感は『国際ユダヤ人』という本にまとめられ、1920年に出版された。
 ドイツでこの本を読み、フォードの思想に感銘を受けた者がいた。アドルフ・ヒトラーである。フォーディズムにおけるユダヤ人蔑視の考えが、ヒトラーによってどのような現実となったかは、言うまでもない。(参考、永井俊哉「フォーディズムとは何か」所収『縦横無尽の知的冒険』)
http://www.nagaitosiya.com/a/fordism.html
 自分の仕事が、世のため人のためになる、などと考えるのは、思い上がりもはなはだしい。
 人は、私利私欲で働いているのだ。世の中はゼニである。そう本音で生きている者たちのなかにあって、建前ばかりの、きれいごと大好きの者が勝てるわけがない。
 成功している経営者のほとんどは、あくどい守銭奴である。