企画はパクリ

 ジョージ・クルーニー監督の『コンフェッション』を見る。
 チャック・バリスが書いた自伝が原作で、それを『マルコヴィッチの穴』のチャーリー・カウフマンが脚色している。自伝とはいえ、テレビ番組のプロデューサーをしながら、じつはCIAの秘密工作員で人殺しもしてきたというたぶん作り話だろうというものだけど。
 しかしチャック・バリスが有名なプロデューサーだったというのは事実で、映画の中でも、数々のヒット番組を手がける姿が描かれている。彼の発想のすごいところは、それまでプロの俳優や歌手が一流の芸を見せるのが常識と考えられていたなかで、素人を起用したバラエティ番組を作ったところにある。いわゆる視聴者参加型番組である。
 素人の女性が、壁の向こう側にいる三人の男性に質問を繰り返し、その答えから自分の気に入る相手を選び、みごとカップルが成立すると、番組がデート費用を提供する「デート・ゲーム」。あるいは、素人の出演者が歌やダンスを披露して、審査員が鐘を鳴らして評価を下す「ゴングショー」。
 おいおい、これって「パンチDEデート」だろ、「NHKのど自慢」だろ、「新婚さん、いらっしゃい」だろ、「減点パパ」だろ、って、これらの番組ってぜんぶアメリカのパクリだったのか。
 それで本家のチャック・バリスのほうは、やがて俗悪番組とか国民をバカにする番組とかの批判により視聴率が低下して、打ち切りになる。日本のほうは、俗悪番組という批判が出ても、あいかわらずバカな番組は人気で放送され続けて、もしかするとこれは日本人を白痴化するためのアメリカの陰謀かも知れぬと思ったりする。


コンフェッション [DVD]

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