ブラックな笑い

落語家というのは何の取り柄があって、あんなにえらそうにするのだろうか。ああいうのをありがたがる客がいるから、ますます横柄になるのだろう。
それにしても落語家ふぜいが、おれより金を持ってるは女にもてるは、そんなやつの高座なんかで誰が笑えるかとますます気が滅入るのであるが、ぶらり立ち寄ったレンタルビデオ屋に、快楽亭ブラックのDVDがあったので借りてきた。

『大迷人』というDVDに収録されている「英国密航」という噺には、こんな説明が書かれている。

「『主命』はシュメイと読む。日本語を勉強したまえ」と初老の客。
あっしのは芝居噺で、芝居はシュウメイと発音するンだ。
歌舞伎を観ろ。落語しか知らんくせに、文化人顔しやがって!
こっちを外国人かと見下しやがって。あほんだらがっ!


なかなか気持ちのよい啖呵である。しかしブラック師匠は『イメクラ五人回し』という噺で、「明治は遠くなりにけり」を正岡子規の句だと間違えているのだが、まあ、あれはわざとかもしれない。
それにしてもこれだけ不謹慎なネタをやっていながらいまだに消されないというのは、どうせ落語家ふぜいのやることだからと正しく差別されている証しであろうか。