そして誰もいなくなる

栗本薫さんが亡くなったけど、まだ56歳という若さに驚いた。魔女だからもっと年食ってたのかと思ってたら、村上春樹(60歳)より、若い。
両人とも早稲田の出身だし、キャンパスですれちがったこともあるんじゃないかな。そういえば群像新人賞の出身というのも同じであるし、たがいに意識していたかも。村上龍も含めて、この世代あたりからサブカルチャーの影響が強くなっていく。映画とジャズ、そしてマンガとロック。
栗本薫さんの小説については、若い頃はいろいろ読んだけど、途中でついていけなくなって関心がなくなった。
中島梓名義の『マンガ青春記』(集英社文庫)は、おぼえている。 マンガ家になろうとして雑誌『COM』のコンテストに何度も応募するが、ことごとく落選する。なりたいものに、なれなかった悲しみ。
忌野清志郎もそうだが、栗本薫も、若者の繊細な感覚をすくい取るのがうまい人だった。それゆえに、ああいうのは通過儀礼とか、はしかみたいなものだと、おれは思う。
反抗し破壊することは教えてくれたが、それから先のことは教えてくれなかった。

マンガ青春記 (集英社文庫)

マンガ青春記 (集英社文庫)