革命家は愛され、軍人はきらわれる

客「チェ・ゲバラがまた人気のようだね」
主「映画はすごかったね」
客「見てきたのか?」
主「キューバ革命成立後、ゲバラが日本にくるんだ。そしてここでもまた革命を起こすために、学生運動の指導者となる。東大安田講堂を占拠したのも、よど号ハイジャックも、あさま山荘事件も、全部ゲバラだ。そして世界革命を唱えてパレスチナへいく」
客「おいおい、あの映画にそんなシーンなかったぞ」
主「俺の記憶の中にはあったんだ。ある作家が、映画の感想を書いた。すると読者から、そんなシーンはなかった、とクレームをつけられた。すると作家は、こう言い返した。私は自分の記憶に基づいて書いているのでこれでいいのだ」
客「バカだな、そいつは」
主「シネフィルなんてみんなキチガイだ」
客「しかし、ゲバラは1967年に死んでいるじゃないか。ボリビア軍に捕らえられ、射殺された」
主「それは替え玉だったんだ。本物のゲバラは南米ではなくて、日本に来た」
客「まあ、1959年に来日しているのは史実だ」
主「それみろ、おりしも安保闘争の最中だぞ、それを見たゲバラの血が騒がないはずなかろう」
客「ゲバラは、広島を見学したんだね」
主「それでこう言ったという。なぜ日本人はアメリカに対して原爆投下の責任を問わないのか、アメリカにこんな目にあっておきながら、あなたたちはなおアメリカの言いなりになるのか」
客「耳が痛いね、どうせ植民地ですよ。でもキューバより住みやすいだろ。日本はアメリカの保護のおかげで豊かになり、キューバはアメリカの経済封鎖で貧乏になった」
主「そんなのは奴隷の幸福だ、いまこそ革命を起こせ、とゲバラは言った」
客「なんでゲバラはそんなに、日本にこだわるんだよ」
主「それは、ゲバラの祖先が日本人だからだ」
客「なんだって!」
主「高杉晋作だよ」
客「ちょ、待てよ。高杉晋作は、慶応3年に、桜山で死んだ。肺結核だった」
主「それも替え玉だった。本物は坂本龍馬海援隊が用意した船で日本を脱出し、南米に渡った。そこで現地の女性と子供をもうけて、その子孫がゲバラだ。だから映画のタイトルが、『チェ80歳 出生の秘密』」
客「めちゃくちゃな映画だな。でもソダーバーグの映画よりおもしろそうだ」
主「ラストがすごい。ゲバラは日本人女性との間に、子供をもうけていた。その子供が成長して、東京都知事選に立候補するんだ。そして政見放送で、もはや政府転覆しかない! と主張する」
客「な、なんだって!」