氷点とロボコップ

三浦綾子の小説を映画化した『氷点』(山本薩夫監督)を見たら、意外とおもしろかった。

誘拐犯に娘を殺された夫婦が、キリスト教の「なんじの隣人を愛すべし」という教えを実践しようと、その誘拐犯の娘を養女に迎え、育てる。

信仰に篤い人間のほうが、時として、重い罪を犯すというのは、おもしろい。

それで、少し前にギャオでやってたので、『ロボコップ』を見直したら、これもおもしろかった。

町山智浩ブレードランナーの未来世紀』によると、ポール・バーホーベンは、キリスト教への関心が強いらしい。多くの研究者が集まる「キリスト学会」にも参加している。「実在の人間として、真実のキリストを描きたい」という思いを持っているそうだ。

「今まで神の名を騙ってどれだけの殺戮が正当化されてきたことか。十字軍遠征、異端審問、ナチズム、ホロコースト……」。
ヴァーホーヴェンキリスト教こそ西欧人の暴力の源だと言う。
キリスト教徒は十字架をベッドの上に飾って眠るが、子どもの頃から毎日拷問図を見て育てば残酷になるのも不思議じゃない」
(前掲書・201ページ)

それで「ロボコップ」というのは、復活したキリストなんだそうです。
そのロボコップが、自分を殺した悪人どもに復讐するというのは、黙示録であろうか。

わたしが来たのは地上に平和をもたらすためだ、と思ってはならない。
平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ。
(マタイによる福音書・10章 34節 )