つっこみ力(笑)

パオロ・マッツァリーノ『つっこみ力』(ちくま新書
社会学の論客、マッツァリーノ先生ですが、どうもこの本は、前二作に劣る。新書ということでページも薄いが、内容まで薄くなっているのが残念。

反社会学講座』の主な内容は、こちらのサイトで読めます。


『反社会学講座』から『つっこみ力』への道によれば、

前の本は「たった4万部しか売れなかった」とのこと。それでもっと「おもしろく」「わかりやすく」書いたのが、『つっこみ力』ということなんだけど、必死で笑わせようとして、すべっている芸人を見ているようで、つらい。

4万部よりは売れたのかもしれないけど、『女性の品格』よりは、ぜんぜん売れなかったわけで、では『女性の品格』は、おもしろいから売れたの?という問題もあるし、このあたりの分析も踏まえて、次回作に期待したいです。

たとえ新書でも、谷岡一郎『社会調査のウソ』のような名著もあるので。


別冊宝島の『社会学・入門』には、「社会学には、常識を覆すような 意外な発見があるからおもしろい」と書かれている。

たしかに社会学の理論には、逆説的なものが多くあるのだが、最近の社会学者には、たんに非常識な主張をして世間の注目を浴びたいだけのような人がいる。
そういうものに対抗するには、もう一度、常識的に考え直す、という作業が必要であろう。

『反社会学の不埒な研究報告』では、「こだわり」という言葉の使われ方について、こう指摘する。
「くよくよ」も、同じような意味だから(他の人が気にしないことを、いつまでも気にする)「こだわりのラーメン」があるなら、「くよくよのラーメン」があってもいいじゃないか。

マッツァリーノ先生のこういう主張は好きだ。しかしこれは、社会学関係ないじゃん、という話でもあり、パオロ・マッツァリーノというナゾの著者は、社会学を批判しながら、おそらくご自身も社会学者だと思うのだが、
であるなら、正面きって、バカな社会学者の実名を挙げて批判してほしいし、ガチな論戦を見てみたい。