にっぽんサルバドル

映画『サルバドル/遥かなる日々』
内戦のエルサルバドルを描く傑作。

ニコラス・ケイジが武器商人を演じる『ロード・オブ・ウォー』と一緒に見ると、アメリカという国の実態が何も変わっていないとわかるとともに、20年前にアメリカ批判の映画を撮っていたオリヴァー・ストーンの視点の確かさに感心する。

馬に乗った現地民のゲリラを、米軍の戦車が迎撃するシーンは、インディアンを虐殺する西部劇への皮肉か。

国連安保理常任理事国(米・英・仏・露・中)は、主要な武器輸出国でもある。

遠い世界の話ではない。戦後日本の繁栄には、朝鮮戦争での特需が影響しているし。アメリカの核の下での平和に、もっと後ろめたさを感じるべきであろう。

日本での占領政策が、あまりにもうまく行き過ぎたことが、アメリカの覇権主義を増長させた面もあるだろう。

村上龍がひところ、日本人もあっさり降伏しないで、本土決戦をやればよかったなどと無責任な放言を繰り返していたが、そんなに言うなら、過激派セクトの闘士にでもなって、暴力革命路線を突き進めばよかったのだ。

仮に日本の左翼運動が勝利していたら、日米安保は破棄され、人民はカラシニコフで武装しゲリラとなって、アメリカの傀儡となった右翼勢力と、血みどろの内戦になっていただろう。
エルサルバドルのように。

いつかそういう日が来るのか。
それとも、
核に守られた平和と繁栄が、このまま続くことを願うだけか。