また選挙か

社会学者の橋爪大三郎に、『民主主義は最高の政治制度である』(現代書館)という著作があって、まさにそのタイトル通りの主張なわけですが、しかし、そこには留保があって、

決して、民主主義が「理想」だからではない。民主主義に代わる、より優れた政治制度を、我々はいまだ発見できていないから、さしあたり民主主義しかないのだ(大意)。

民主主義は、理想の天国でも極楽(パラダイス)でも何でもない。民主主義は、民衆の幸福を必ずしも保証しない。
それはただ、民衆がこうむる苦痛や悲惨を必要最小限に喰いとめるための、ギリギリの工夫なのだ。

(同書から引用・111ページ)

では、本当の理想社会は、どのように実現可能なのだろうか。

残念ながら、民主主義には、理想社会を生み出す力はない。

非武装中立などという理想を掲げる政党があったところで、そんな理想社会が、民主主義によって実現される可能性は、ほとんどない。そんなことは、社民党共産党議席数を見れば、
子供にもわかることだ。

社会がよくなるにしろ、悪くなるにしろ、その変化は緩やかであり、おそらく我々は、このまましばらく、ぬるま湯のような平和を享受するのであろう。まあ、それでもじゅうぶん、幸福なことではあるが。

そもそも、彼らの考える理想社会など、この世界のどこにあるのか。そんなものは、歴史上、あったのか。