ジブリをいじめないで

大ヒット上映中の映画『ゲド戦記』を見てきました。
観客は、おれ一人でした。映写係のおじさん、ごくろうさまです。
ジブリの映画で貸切状態だったのは、『ホーホケキョ となりの山田くん』以来ですかね。

まあ、映画のほうですけど、往年の名作アニメ『太陽の王子 ホルスの大冒険』が始まったのかと、思いましたよ。
画面のセンスが古い。ジブリのアニメにしては、絵が荒いっすね。あの緻密な絵は、どこにいったんですかね。

昔の”東映まんがまつり”を思い出すというか、まあそれでも、『長靴をはいた猫』とか、『パンダコパンダ』とか、名作はあるわけで、ちゃんと作品になっていれば、文句もないわけですが。

フジテレビで放送されていた”世界名作劇場”の雰囲気もありまして、『アルプスの少女ハイジ』とか、『母を訪ねて三千里』とかなんかジブリの歴史が、30年ほど昔に戻ってしまったような。
宮崎吾朗監督って、どうしてこんなにセンスが古いの?
鋼の錬金術師』も『涼宮ハルヒの憂鬱』も見ていないのか。親父さんが怖くて、見せてもらえないのか。絵もシナリオも、今のアニメのレベルを知っていたら、こんな作品は恥ずかしくて、表に出せないはずだが。

なんか、「幸福の科学」が作ったアニメみたいなんですわ。最後の方で、「エル・カンターレ」とか出てきたら、どうしようかと。いや、おれには見えなかっただけで、信者には見えていたのかも。

宮崎の親父さんも、ゴリゴリの左翼なわけですが、それをうまいことオブラートに包んで、表現しているために、一般大衆には気づかれずに、ここまでやって来れたわけですが、息子さんは、そのあたりの技術がないから、もろ、プロパガンダ映画ですよ。

そういう点では、あまりの怖さに、映画館で子供たちが泣き叫んだという高畑勲『火垂の墓』の、後継者になるかもしれません。ほめてるのか、おれ。

それはそうとアメリカ製作のテレビドラマ版『Earthsea』を見ました。BIGLOBEストリームで、配信されてました。(8月末までの期間限定だったので、もう配信は終わってますが、DVDが出てるみたいです)。こちらは、けっこう面白かったですね。

原作者のアーシュラ・K・ル=グウィンは、アースシーの民族を、ほとんど白人にされた、これは人種差別だ、なんて怒っているみたいですが。でも、テレビドラマ版は、原作の1巻と2巻のストーリーを、忠実に映像化していました。

宮崎アニメの『ゲド戦記』は、原作の、第3巻以降をメインにしつつ、独自の脚本ということで、これも失敗の要因かなあ。どうせなら、原作に忠実にやれば、言い訳できたのに。

これじゃ、原作を読んでない人は、ちょっと、わからないと思いますよ。ゲドがなぜ、ハイタカと呼ばれるのか説明もないし。
でもまあ、『ホーホケキョ となりの山田くん』で、ジブリは終わった、と誰もが思ったところに、『千と千尋の神隠し』がきたわけです。高く飛ぶためには、一度低く低く、屈まなければならない。イチローだって、たまには三振する。

だけどまあ、よりにもよって『ゲド戦記』でコケたのは、まずかったよなあ〜。『ホーホケキョ となりの山田くん』を知ってるのは、日本人だけですが、『ゲド戦記』は世界中の人が、知ってますからね。