デブラ・ウィンガーを探して

デブラ・ウィンガーを探して』という映画を見ました。

まあ、ドキュメンタリーというか、女優のインタビュービデオですね。
仕事と家庭の両立に悩むロザンナ・アークエットが、
引退したハリウッド女優、デブラ・ウィンガーを探して、旅に出る……っていう紹介文だったので、てっきり、デブラさんは、失踪して行方不明かと思いきや、結婚されて幸せに暮らしている、と。

なんだか拍子抜けですが、いろんな女優が出てきて、仕事についての不満を、ぐちぐち述べるのですが、まあ、それも女の井戸端会議というレベルで、もっとスキャンダラスな、えげつない暴露話を期待していた者には、これも拍子抜けでした。

インタビュアーのロザンナは、フェミニズムのバイアスが、かかっている感じです。最初はそれが鼻につく感じだけど、見ているうちに、まあ、いいか、ってな気になります。

撮影所で、女性の立場が弱いというのは、たしかにそういう構造的な問題はあると思うし、改善されるべきでしょう。

それはそうとして、出てくる女優さんたちは、ハリウッドでそこそこ成功しておるし、不満や、苦労話や、愚痴を漏らしても、それすら自慢話に、聞こえるんですよね。精神科医のカウンセリングに通い、自分の恥ずかしい内面を告白することが、ある種のステータスとなるような社会に、住んでいらっしゃる方々と申しましょうか。

不幸自慢や、病気自慢ね。
皆さん、プライドが高い女性なのだと思います。

だから演技力ではなく、映画界の実力者と”寝る”ことで仕事をもらう女優や、整形手術で人気を得ようとする女優たちを、
認めないし、軽蔑し、差別する。
こういうセレブたちの、内にある差別感情に切り込めば、もっとスリリングなインタビューになったと思いますが、出演者は、みなさん監督のお友達のようで、和気あいあいとした雰囲気で、進行していきます。やはりこれだけでは、中年女の愚痴にすぎない。

そもそも、ロザンナ・アークエット自身が、べつにたいした女優でもないし、仕事を休んで子育てに専念しても、誰も困らないと思うのだが。

わざわざ『トゥームレイダー』のポスターの前で、女優批判のインタビューを行っておりますが、あれはやはり、アンジェリーナ・ジョリーへの、あてつけですかね。

アンジーって、こういうフェミ系の女優からは、嫌われてそうだなあ。

しかし、引退して幸福を手に入れたデブラ・ウィンガーではなく、女優、母親、ボランティアと精力的に活動するアンジェリーナ・ジョリーの生き方にこそ、学ぶべき点が多くあるように思います。