クラシックの演奏会に行くと、受付でチラシやパンフレットをもらいます。
それで、開演までの時間、それを読んでいるわけですが。
いつも気になるのが、そこに記載されている、クラシック演奏家の経歴です。
たとえば、こんなかんじ。
3歳からピアノを始め、レギナ・スメンジャンカ氏に師事。
桐朋学園高校を最優秀の成績で卒業後、東京芸術大学音楽学部器楽科に入学。
J・S・バッハ国際音楽コンクール優勝。
ミュンヘン国際音楽コンクール・ピアノ部門入賞。
同大学大学院修士課程を経て、ニューヨーク・ジュリアード音楽院に留学。
ジョージ・シャンドール、ビヴァリッジ・ウェブスターの各氏に師事。
サヴァリッシュ指揮バイエルン国立歌劇場管と共演。
リスト・バルトーク国際ピアノコンクール優勝。
チ・ナジ・イルディコ、ボト・レヘルの各氏に師事。
日本フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、等と、各地で共演。
てな具合で。(誰の経歴というわけではなくて、目についたプロフィールを適当に、つなげただけです)
チラシには、御真影といいますか。見合い写真か、七五三みたいな顔写真が載っていて、まあ、ご立派な経歴だこと。おほほほ。と思うわけです。
どこか、犬の血統書めいていまして。
どこの大学を出て、どの演奏家に師事して、どのコンクールに入賞して。
そういうものを事細かに書かなくてはいけないという、しきたりみたいなものが、クラシック業界にはあるのですかね。
そのくせ、女性ピアニストの年齢が、書かれていないのは、ご愛嬌ということで。
徒弟制度というのは、べつに悪いとは思いません。
著名な演奏家の弟子でなければ、コンクールで入賞できないとか、演奏会に出られないとか、そういう因習があるなら問題ですが。
ピアニストを目指す若い人は、芸術家なんて職業も、サラリーマンと同じように、学歴とキャリアが、もの言う世界だということを、知っておきましょう。まあ、さほど才能のない演奏家なら、とりあえず音大を出て、有名な先生の弟子になって、それで、好きなピアノやバイオリンを弾いて、一生過ごせるなら、そういう互助会的な制度としては、よくできていると思います。
- 作者: 石井宏
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