NHKアーカイブスは、おもしろい

NHKアーカイブス』という番組を、たまに見るんですけど。
けっこう、おもしろい。
「おとこ東大どこへ行く〜10年目の東大全共闘〜」(1978年11月25日放送)ってやつでは、あの橋本治さんが、レポーターとして出演。全共闘運動に関わった人たちの、10年後を取材していました。東大を中退して、ドヤ街で働いている人なんかがいて、興味深かった。彼らは、いま、どうしてるんでしょうね。
それから初来日した時の、KISSの武道館コンサートを特集した「ヤング・ミュージック・ショー」も、再放送されていた。
別のドキュメンタリーでは、外道というロックバンドの、ライブまで、見ることができた。放映中止騒ぎが起こった「ドキュメント・キャロル」も、再放送してくれないかな。
少年ドラマシリーズタイム・トラベラー」「なぞの転校生」の再放送もよかった。
それで。
ルポルタージュにっぽん ボブ・ディランがやって来た」(1978年4月15日放送)
これには若き村上龍が、リポーターとして出演して、いろんな人をインタービュー取材しています。
この年に、ボブ・ディランが、初来日。それで、ディランについて、いろいろ感想を聞いて回っているわけです。
村上龍は、まだ26歳。芥川賞を取ったのが24だから、この年は『限りなく透明に近いブルー』の映画を撮ってる頃ですね。
それで他の出演者は。
岡林信康井上陽水フォーリーブス、なんて人たちがVTRにちょこっと出演。
中山ラビ、児島鉄平、泉谷しげる岡本おさみ高石ともや、西岡恭三。といったフォークソング関係者は、インタビューに答えてます。沢田研二も、出てました。
高橋三千綱牛次郎立木義浩。清水哲夫、加藤哲郎七字英輔。こういう人たちも、ディランへの想いを語ってました。
異彩を放っていたのは、つかこうへい、です。他の出演者は口々に、ボブ・ディランは偉大だ、なんてことをしゃべってるのですが、つか氏は、こんなことを述べます。

きらいじゃないけどね。
喫茶店の、コーヒー飲んでる時の音楽なら、いいけどね。
それ以上、しゃしゃり出られると、おいおい、ちょっとちょっと、って感じになるけどね。
芝居はさ、どっか、戦争に賛成しましょう、じゃなきゃ、芝居になんねえわけだからね。
でも、いいよな。戦争反対、って言ってさ、金もうけできるんだから。

それで。芥正彦という人も、出演してました。
彼は、「おとこ東大どこへ行く〜10年目の東大全共闘〜」にも出演されていて、橋本治さんとも、討論してました。三島由紀夫が自決前に、東大全共闘と対話集会をやったのですが。その時にも、芥正彦さんは、活躍されたようですね。いかにも理論家という感じで、これも異彩を放っておりました。やっぱり演劇関係者は、おもしろいです。
それで。村上龍は番組の最後に、秋田明大を訪ねます。この人は、68年の日大闘争のときの、日大全共闘議長でした。そういや秋田氏の『獄中記』なんて本を、図書館で見つけて、ちょこっと読んだことも。
それで。村上龍は、自動車修理工場で働く秋田氏に会って、こう言います。

あの時の、日大全共闘の戦いが、ぼくらにとって、すごく勇気づけられたし、考えさせられたし。感動を与えてくれた。
ものすごいパワーがあったってことを、言いに来たんだろうと思うんです。

なんか、今の村上龍さんからは、想像もできない言葉ですね。
しかしまあ、NHKには、お宝が眠ってますね。もう、新しい番組なんか作らなくていいから、こういうのを、どんどん放送してくれないかな。